今回は若い人にとても人気のある就職先である教育業界についてどんな仕事があるのか、実態はどんな感じなのか、今回は教育業界の中でも特に学習塾業界の実態について解説していきます。
少子化が進んでいるので昔よりも子供の数は減ってきています。しかし、その分子供1人にかける教育費は増えてきているため塾業界全体がまだしばらくは生き残っていくことはできるでしょう。ですが同じような塾が乱立しているため、特徴を持たせる必要も出てきております。
私自身は塾でアルバイトをしていた経験もありますし、転職エージェントとして塾業界出身の方の転職支援たくさん行ってきました。そこでの経験や生の声をご紹介していきます。
特に女性の人気も高いのですが、早期に離脱してしまう人が多くいる業界でもあります。
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学習塾業界の仕事内容
子供の頃に塾に通っていた人も多いと思われますので、なんとなくどんな仕事なのかイメージはしやすいのではないでしょう。
しかしそれは「生徒」という立場から見た姿であり、実施に自分が働くとなると思い描いていたイメージとはかなり異なる部分があるでしょう。
まず仕事内容は大きく「授業」と「授業以外の事務」に分けられます。
授業だけではなく生徒募集をはじめとした業務がたくさんある
授業はなんとなくイメージが出来ると思われますが、正社員として働く場合は「授業以外」の業務が中心となり求められるようになってきます。
基本的には飲食店の店長のようなイメージのお仕事なので、 教室運営に必要な業務をやらなければなりません。
具体的には、
- 生徒募集(広告作成、ビラ配り、HP掲載、生徒への呼びかけ)
- 採点、教材作成
- 生徒の成績管理
- 生徒の進路指導
- 生徒の受講講座の管理
- 授業料の管理
- 保護者への連絡
- 教室内の美化 掲示物の作成
- アルバイトの募集、採用、 シフト管理、教育研修
- 学校情報の収集
- その他、会社業務(広報、採用、WEB関連、学校対応など)
など、とても多岐にわたった仕事をやらなければならなくなります。
この中でも特に重要な要素は生徒募集です。
学習塾で働くのに授業をやったり生徒の相手だけをやれば良いと思うかもしれませんが、 正社員で働くには会社全体の売り上げアップを求められます。
売り上げを上げるためには生徒数を増やさなければなりません。 生徒を増やして売り上げを上げられる人が仕事が出来る入として評価される業界のため、営業的な要素が求められます。
上記に示した仕事内容は全て生徒募集・生徒満足へ繋がるものだと考えると分かりやすいでしょう。生徒が満足し、次から次へと生徒が集まってくる教室を作るのが正社員としての仕事内容です。
まずはこの部分が出来ない人はどんなに良い授業をやっても評価はされないし、昇進することは出来ないでしょう。
授業は「集団指導」と「個別指導」によって異なる
授業についてですが、授業もその中で「集団指導」と「個別指導」の二つに分けられます。
「集団指導」は生徒が少ないと10人くらい、多いと30人くらいを相手に先生が授業をします。 「個別指導」とは、生徒1~3人に対して先生1人が担当します。
どちらの指導形態であっても求められる能力は、子供たちにわかりやすく教えることができることです。
基本的な学力が備わっていることは当然のことです。
しかしどちらも学生アルバイトが中心となって授業を行っている塾が多いため、実際に正社員が授業をするところは稀かもしれません。
ですがアルバイトが集まらないときなどは自分で授業をしなければなりません。 専門とする科目ではなくても授業をしなければならないので、いくら小中学生の内容とはいえ上位のレベルにもなれば事前の予習などはハードになります。
特に入社3年目くらいまでは予習には時間がかかることでしょう。 慣れてきてしまえば予習無しでも授業が出来るのですが、その度合いは自身の基礎学力が大きく影響をします。
私も学生時代にアルバイトで集団指導も個別指導もどちらも経験をしたことがあります。 集団は全員の反応を見ながらの授業のため事前に用意した通りの展開にならないことも出てきてしまいますが、 事前の準備をしっかり行っていれば問題なく授業は行うことが出来ます。
どちらかというと個別指導の方が大変で、担当する生徒3人が学年も科目も別なことをやりながら教えていかなければなりません。その場で考える余裕などありません。
基礎学力がある人なら事前準備が無くてもアドリブで質問に対応できると思われますが、私の場合は専門外である社会の歴史などは流石に思い出すのに時間がかかるので、事前準備が結構な時間が必要でした。
学習塾業界のウラ側や実態
私が実際にアルバイトをしていた経験もあり、また、転職エージェント時代に塾業界出身の人の転職支援もたくさん行ってきました。
そこでの経験や聞いた話から、業界の実態について書いていきます。
勤務時間は夜寄り
生徒は平日の日中は学校に行っています。そのため、授業をするのは夕方以降の時間になります。
普通サラリーマンよりも夜寄りの働き方になります。 13時~22時が定時のところが多いのではないでしょうか。
13時に出勤をして教室の掃除、掲示物の作成、採点、教材作成、授業準備、生徒募集などを行い、 タ方16時くらいから小学生の授業、18時くらいから21時くらいまでが中学生の授業となります。授業後に生徒からの質問等に対応し、アルバイト講師からの報告を聞いて22時くらいで退社。
というのが理想的流れですが、実際のところ授業前にやっていた業務が終わらないことが多いため、22時以降に残業してやることが多いでしょう。
しかし終電も近いため、あまり遅くまでは仕事はできません。 私の場合は車通勤だったので毎日夜中の1時くらいまで仕事をやっていましたが、 終電ということを考えると残業はあまり出来ない業界でもあります。
ですが午前中に会議があることもあるため、仕事後の残業ではなく仕事前の早出残業があります。午前中の会議だと睡眠時間はかなり削られます。
また、勤務時間内に授業準備が出来ないこともあるため、朝早く起きてやったり帰宅後の夜中2時くらいからやるということもありました。
例外的には、夏休みなどの夏期講習期間のみ定時が早くなる塾もあります。
休日はかなり少ない
学習塾業界は全体的に休日は少なめです。土日休みではなく、日曜日と月曜日が休みのところが多いようです。
しかしこれは通常の期間の話であり、夏休み冬休み春休み期間は学校も休みになるのでそれぞれ講習があります。
講習となると休みが無くなることもあります。また、夏はお盆休みも無かったり夏合宿があったりもするし、冬も受験前なので正月も関係なしに授業があります。そうなると年間休日が120日以上確保するのは難しくなります。
春休みも同様で、学年が上がるこのタイミングが一番の生徒募集の時期になります。そのため、春期講習はもちろんのこと、生徒募集の営業活動が一番忙しくなる時期なので基本的に休めません。
年間休日は100日前後が多いです。
ちなみに、体調不良でもなかなか休むことができません。もし教室長が1人でやっている塾なら休むと教室を開けられなくなってしまいます。
また、複数人の社員がいる教室であっても休むことにより授業に穴が開いてしまうことになります。
私が働いていた塾では休んだ代わりに派遣社員を手配して代行授業を行うことになっていたので、1人の欠勤で本部は大慌てになっていました。
38.5度の熱でも授業直前まで控え室で寝ていて、なんとか授業をやっていたのを覚えています。
同僚は良い人が多い
やはり子供たちが好きな人が多いので、穏やかな人が多い印象があります。ゴリゴリの営業会社のように怒鳴り散らしている人もいないし、人間関係でのストレスは少なめでしょう。
また、毎日のように相手にする人が子供たちが中心となっているため、大人とのコミュニケーションを苦手としている人もいます。 子供ウケはするけど大人として大丈夫かな?と思う人もいます。
しかし、そんな環境なので一般企業とはかなり違う環境で過ごすことになります。そのため、塾業界意外で働くことになるとそのギャップを感じることは大いにあることでしょう。
そして、結婚出産しても仕事を続けていくにはとても難しい業界です。女性社員の比率もとても高い業界ですが、突発的な休みが取りにくいため退職してしまう人がほとんどの業界です。
給与はかなり低め
新卒で入社したらまずは年収は300万円前後、教室長になれば400万円以上、エリア長になれば500万円以上というのがよくある塾業界の給与形態です。しかしそれ以上となると大手の塾でない限りかなり難しくなるでしょう。
地元の地域密着塾で600万円を超えてるのはほんの一握りです。
一部の企業では1000万円以上も可能ですが、労働時間や業務のボリュームがかなりあるため、 それでも1000万円が見合っているかは疑問があります。
また、授業準備を自宅でやったりすることもあるため、これらの時間は仕事時間に含まれません。能力が高い人は授業準備の時間も不要なので、授業準備が必要だというのは単純に能力が足りていないだけなのです。そのため、授業準備などはサービス残業になってしまいます。
あとは生徒数や合格実績に応じてのインセンティブや、夏合宿の参加や正月特別授業に参加したら別途インセンティブもあったりします。
一番のやりがいは子供たちの成長が見られるところ
- 睡時間が無い
- 休日が無い
- 給与が安い
- 体力勝負の仕事
という部分もありますが、子供たちの成長が目に見えて分かるところはやっていてとでもおもしろいところになります。
- 成績があがった
- 志望校に合格した
- 資格が取れた
そんな姿を見るのが一番の楽しみです。
反対にそこに楽しいと感じない人にはこの業界の仕事は向いていないでしょう。 条件面では良くないところが目立つ業界ですが、そういった楽しさがあるからこそ続けられる仕事です。 もし給与がもっと欲しいのでしたらゴリゴリの営業会社に行った方が良いでしょう。
夏合宿の引率などは生徒の安全を第一に考えなければならないのでとても大変なところではありますが、なんとなく自分が学生時代に戻ったような気分になって結構楽しむことも出来ます。
最も必要とされることは、「子供たちのために全力になれるか」ということです。
学習に転職するにはどうしたら良いのか
さすがに基礎学力は持っていないと難しい業界のため、大学を卒業していることは最低条件になります。
しかし上位校を出ている必要はありません。Fランでも全く問題なく入社することができます。
むしろ上位校を出ている人が学習塾業界に行くのは条件面的にもあまり良い選択ではないので、ほとんどいないのが現実です。
また、 お金を払うのは保護者です。「保護者に対する責任」を果たせるかどうかが採用の大きな決め手になります。
保護者は子供の成績を上げることを一番の目的としておりますが、まずはちゃんと勉強をやるように習慣化させることや、夜の時間の通うため子供たちの安全面についても関心があります。そういった責任を果たせる人なのかどうかはとても重要な要素です。
未経験で転職ができるのは20代までが限界です。30歳を超えてくると未経験で入社するには難しいでしょう。 あまり経験者が優遇されることはないので、経験者であっても30歳を超えてくると転職するのは難しくなります。
どの業界出身であるか、どういった経験をしてきた人が優遇されるかというのはあまりありません。
- 元営業
- 元食店店員
- 元トラック運転手
- 元美容師
- 元研究者
- 元経理職
- 元旅行手配
など、私が出会った人だけでもたくさんいました。
学習塾で働いている人はどんな業界に転職していくか
働いている人からすれば、「営業的な仕事もやり、コミュニケーションカも必要な仕事だから活躍できる場はたくさんある」と思うかもしれませんが、一般企業の人事はあまりそのあだりは分かっておりません。
「塾で働いているって子供たちの相手しているだけでしょ?」と思っている人事はたくさんいます。 そのため、異業界・異職種へ転職するのはかなり厳しくなります。
そうなると同業界・同職種に転職せざるを得なくなるのですが、先ほども言った通り30歳を超えてくると同業界でも転職はかなり難しくなります。 転職は諦めてその会社の中で生きていくか、もしくは独立することになります。
潰しが効かない業界なので、入社すると時はしっかりと検討してからにしましょう。
しかし、業界的に独立はしやすくなっています。 実際に個人で小さな塾を開くのでも良いだろうし、フランチャイズ展開をしている塾もたくさんあるのでフランチャイズのオーナーになるという手段もあります。
有名なところでは、
- 明光義塾
- トライプラス
- Wam
- 武田塾
- スタールIE
- Axis
- Dr.関塾
このあたりは全国展開をしているし、知名度もあるので始めてみるのも良いのではないでしょうか。
オーナーになってしまえば経営者です。FCはやるべきことはたくさんあるしロイヤリティをがっつりと取られてそこまで儲からないかもしれませんが、経営者となれるのでそういった人生のキャリアプランを描いていくのも楽しいですね。
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